8回表、狙い澄ました一撃
8月11日(日本時間12日)、ドジャースの大谷翔平が敵地・エンゼルスタジアムで今季42号ソロを放った。8回1死走者なし、フルカウントから内角低め144km/hのカットボールをすくい上げ、右中間最前列へ着弾。打球速度160.9km/h、推定飛距離118.6mの一発は、古巣球場で通算100本目のメモリアルアーチとなった。インパクト直後に左手を振る“痺れ”のような仕草を見せ、これがファンの間で大きな話題に。
温かなスタンドの反応
着弾地点には大谷の背番号17を着た若い男女ファンが陣取り、ボールを手に笑顔とガッツポーズ。周囲から拍手と歓声が送られ、スタンドは祝福ムードに包まれた。SNS上では「エンゼルスファンもにっこり」「古巣への最高の恩返し」と好意的なコメントが相次いだ。
古巣放送局からの異例の敬意
試合中、エンゼルス地元放送局の解説マーク・グビザ氏は「彼を比較できるのはボー・ジャクソンだけ」と称賛。実況のウェイン・ランダッゾ氏も「今はショウヘイの時代」と断言し、移籍後も変わらぬ敬意を示した。画面には新人王、満票MVP2度、本塁打王など輝かしい功績が映し出され、まるで特集番組のような盛り上がりとなった。
弟分ネトとの再会、そして3戦連発
大谷は試合前、元同僚と笑顔で交流。特にかわいがっていたザック・ネトとは冗談を交わし合った。その後、ネトは2本塁打と大暴れしたが、大谷も負けじと“凱旋弾”で意地を見せ、3試合連続本塁打&10試合連続安打を達成した。
本塁打王争いとペース
この42号はシーズン57本ペース。昨年の54本を上回る勢いで、解説者・井口氏は「今は変化球狙いで本塁打を量産中。速球も打てるようになればもう手が付けられない」と評する。さらに打率も3割復帰が視野に入り、二冠の可能性も残る。
WBC以来の因縁、大谷vsトラウト
次回登板は古巣相手の投打二刀流。23年WBC決勝以来のマイク・トラウトとの対決に全米が注目。トラウトは「甘い球は1打席に1球しか来ない」と警戒心をあらわにしており、再び伝説の場面が生まれる可能性も。
チーム状況と監督采配への声
試合は4-7で敗れ、パドレスとの差は1ゲームに。ファンからは「ロバーツ監督の早すぎる選手交代が流れを断った」と批判も。首位攻防を前に、チームとしての集中力と采配力が問われる。
ファンの記憶に残る一日
左手の仕草から始まり、古巣ファンとの交流、節目の記録、そして本塁打王争いへ──。この日の大谷翔平は、数字以上に物語性のある一日を刻み込んだ。